17年4月末のポートフォリオ

忙しかった4月がようやく終わり、仕事も落ち着きを取り戻せそうです。海外の決算発表も出揃いつつあるので、また決算発表の分析をやっていきたいですね。

さて4月末のポートフォリオです。

購入:DB(ドイツ銀行)、VYM、ニッセイ外株インデックス、SBI-EXE-i グローバル中小型インデックス

売却:HBI(100株だけ)、DA(デルタ航空)、 VRX(ヴァリアント・ファーマシューティカルス)

保有株ではアルファベットが好決算により史上最高値を更新。

一方、デルタ航空は、ユナイテッド航空のダブルブッキングによる不祥事に対応するために補償金額を100万円に上げたり、アメリカン航空の賃上げの煽りを受け、株価が低迷。ヴァリアントはひどい決算により安値を更新。

デルタ航空については航空業界の経営環境が今後悪化することが見込まれ、現在の低EPSはバリュートラップであると判断して損切り。ヴァリアントは株価が下落し保有株の時価が10万円を切ったので、決算発表を丁寧に見るよりもインデックスに乗り換えた方が有意義であると判断して損切り。もっと早く見切りをつけるべきだった。

ヘインズブランズはポートフォリオに占める割合が大きすぎるため一部売却。先日出た17/1Qガイダンスは良好だが、以前よりもアパレル株への個人的な期待感が低下している。

ドイツ銀行を新規に購入。この購入タイミングがベストであるとは思わないが、増資が完了して自己資本に厚みが出てきたことと、銀行株は政治で動くため、ECBのテーパリング期待や、5月のフランス大統領選、夏のドイツ大統領選でも波乱なしの展開が予想されているため、株価に一段の上昇余地があるのではと判断した。

追記:

先日書いた中国の電子決済についての記事

について、現地情報のまとめ記事が市況かぶ全力2階建にあった。

http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65890870.html

クレジットカードは個人貯蓄がマイナスになることもありうるアメリカの消費者の信用決済中毒に依存した制度であり、コストが高すぎると思う。早晩、クレジットカードはアメリカのガラパゴス的な制度になるのではないか。

EBITDAとは何か

めちゃくちゃ遅くなりましたが、先日の記事で予告したようにEBITDAの話。ちょっとややこしい内容かもしれません。

The End of Accounting:投資家にとって有用な指標とは

EBITDAとは、Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amorizationの略で、利払い前・税引き前・減価償却前利益という意味。当期純利益に支払利息と法人税と減価償却費を足したものだ。イービットダーとか、イービットディーエーとか、イービッダと発音される。最後のが一番ネイティブっぽいので気に入っている。仕事柄、会話の中でEBITDAのことがたまに出てくるが、その時はドヤ顔で「イービッダ」と発音してます。

EBIT(利払い前・税引き前利益)という概念もあるが、これは、企業の利益が債権者、税務署、投資家にどのように山分けされるかを表している。

EBITDAでは更に減価償却費を足している。減価償却費は会計上の費用だが、実際のキャッシュアウトではない。実際にキャッシュアウトが出るのは設備投資のタイミングであり、減価償却費は設備投資額が将来にわたって期間按分されている。しかし減価償却費を利益に足すと、過去のキャッシュアウトである設備投資の影響が見えなくなってしまう。

現実には、事業を維持するためには更新投資や新規設備投資が必要になるので、企業は、毎期減価償却費と同じくらいの設備投資を否応なしに行なっている。したがって企業が得た、債権者・税務署・投資家で山分けするお金はEBITDAではなくEBITで見たほうがより適切だろう。例外は買収で多額の無形固定資産の償却が生じEBITが赤字となっている場合。設備投資と償却のバランスに歪みがありEBITだと事業の収益性が見えづらい場合にはEBITDAが有用。こうしたケースは製薬会社などに多い。ただしEBITDAを見る場合には、設備投資も合わせて見なければならない。

(話はずれるが、この企業の利益をステークホルダーで山分けするという考え方は、資本コストを考える際にも非常に有効です)

ウォーレン・バフェットは「EBITDAを利益と同様に扱うことは、ビジネスとはピラミッドのようなもの、つまり今後、何かに置き換えたり、手を加えたり、修理したりする必要がなく、永久に最先端のままであるというのに等しい」と言っている。

また、ロバート・C・ヒギンズはEBITDAをもじって、EIATBS(Earnings Ignoring All The Bad Stuff、悪いもの全部を無視した利益)を好む経営者が多すぎる、と述べる。(『ファイナンシャル・マネジメント』)

リストラ費用などの一時的なコストを除いた調整後EBITDAで見れば増加している、などの決算発表を行う米国企業は多いが、果たしてどのような調整が行われているか、を調べることは個人投資家には難しい。聞こえの良い数字だけではなくて、調整される前の最終利益にも気を配る必要があるように思う。

 

米国株の情報収集に巡回しているサイト

決算期や年度始めで忙しい時期ですね。軽めの更新です。

普段、僕が株の情報を集めるために見ているサイトをご紹介します。ご参考になれば幸いです。英語のサイトも混じってます。

ブルームバーグ

早朝に更新してくれないので出勤途中に見ても前日の米国市場の情報が載ってないのが難ですが、マーケットの情報がちょうどいい感じに集約されてます。

Google Finance

米国市場のヘッドラインや個別株のニュースはGoogle Financeで見てます。ただ、Google Financeに載っている記事には、AIが書いた、今の株価と指標がいくらいくら、を羅列するだけの読む価値がない記事も多く、これだけでは不十分です。

Yahoo Finance

個別株のキャッシュフローやバランスシート、アナリストのコンセンサスが見やすいので便利です。

Morningstar

10年分のファンダメンタルデータがありDCF分析するなどの時に便利ですね。

ValueWalk

投資情報を売りつけるための提灯記事も多いですがダモダランなど気鋭の論者のレポートがたまに載っており読む価値があります。

SeekingAlpha

米国の個人投資家による株式分析が読めます。DCF法でのバリュエーション分析などをやっていて米国投資家の質の高さに感心します。あまり精緻でない分析もありそのまま信じるわけにはいかないですがコメントでも熱心に議論が交わされており勉強になります。

米国株-ブログ村

当ブログも参加しているブログ村です。いつもお世話になってます。素晴らしいブログがいくつかあります。一方で首肯できない記事もありますがそうした記事への反論から有意義な議論が生まれるのでいいんじゃないでしょうか。

決算が読めるようになるノート

IT企業の経営者の方のブログ。無料の記事しか読んでませんが面白いです。snapchatの記事は慧眼と思いました。

naked capitalism

ボリュームが多すぎて正直言って読んでる時間がないのですが、英語圏でも屈指の評判の個人ブログです。

皆様もオススメのサイトあればご教授ください。

追伸: Market Hackを挙げるの忘れてましたが、どうせみんな読んでますよね?

17年3月末のポートフォリオ

3月末のポートフォリオです。

3月の購入:GOOGL、投資信託3種類(毎月買ってます)

グーグル株はyoutubeの不適切動画問題で株価が急落した時に買いました。議決権がないGOOG(クラスC株)の方が安いのですがストックオプションによる希薄化懸念があるためGOOGL(クラスA株)を購入。

創業者のセルゲイ・ブリンとラリー・ペイジら経営陣が一株あたり10票の議決権を持つクラスB株を独占し、議決権の過半数を握っているため、現時点ではクラスA株の議決権に何の価値も感じていないのですが、今以上にブリンとペイジの独裁が強化されることはないと思うので、議決権の価値は今後上がっていくのでしょうかね。

ダモダランがヴァリアント株について白旗をあげる

著名な経済学者であり、コーポレート・ファイナンスの第一人者である、ニューヨーク大学のダモダラン教授がヴァリアント・ファーマシューティカルス(ティッカーシンボル:VRX)についてコメントしています。

http://www.valuewalk.com/2017/03/valeant-update-damaged-goods-deeply-discount-drug-company/?all=1

ダモダランは16年4月に適正株価を44ドルと分析してヴァリアント株を32ドルで購入しており、その後の株価下落で株を買い増して平均取得単価は21ドルと発言していました。これまで強気の分析をしていましたが、論調を一転させ、ネガティブなトーンになっています。

長いので僕が重要だと思った点を要約しますね。

・EBITDAが前年比30%減。利息費用増加しており有利子負債が1年間で4%しか減っていない。買収を繰り返す派手な会社から、堅実で低成長な企業に変身を遂げれば株価は持ち直すと思っていたが、ビジネスが思ったよりも毀損していて回復にはかなりの時間がかかる。

・法人税の減税、借入金利上昇見込みはヴァリアントにとってネガティブ。

・事業の継続が困難になるリスク10%を折り込めば適正株価は13ドル。現状の10ドルよりは高いがほとんど変わらない。

・株を売る予定は今の所ないが、取得単価21ドルに戻るとも思わない。

 

僕はもう少し安いところで買ったのですが(17ドルくらい)概ね同様の意見です。財務レバレッジが凄まじい企業なので、EBITDAの30%減は極めて厳しいです。借り入れの財務制限条項(コベナンツ)に引っかからなければ、いつか買値に戻るだろうという期待はありますが。

株式の時価総額がEBITDA1年分と同じたった30億ドルでも、有利子負債が290億ドルあるので、企業価値(エンタープライズ・バリュー)は30+290=320億ドルで、ゴーイングコンサーンを考えると割安ではないと思います。企業価値に対して株価がごくわずかなので、株価は極めてボラティリティの高い展開になり、許容できるリスクを超えてしまう投資家が多いはずです。

今後何年にもわたって無配当が続き、事業で得たキャッシュを有利子負債返済に充てる企業の株を持ち続けるのはつらいものがありますね。負債の桁が一つ違う東京電力よりはマシですが。オバマケアの撤廃断念がヘルスケア業界に与える影響はどうなんでしょうか?

配当貴族政策は最善の資本政策か?

前回の投稿からしばらく間が空いてしまいました。

担当する仕事に変更があり、年度末ということもあって慌ただしくしていました。前は会計寄りの仕事だったので、マーケットの動向について話す機会がなく気分転換にこのブログを書いていましたが、今は外為や債券、株式市場の分析に少しながら仕事で関わってますので、趣味でわざわざやらなくてもよくなった、ということもブログ更新の間を空けてしまった理由にあるのかもしれません。

とはいえ新しい仕事で得た知見や疑問点がたくさんありますので、このブログを利用して考えていけたらと思います。気長にお付き合いください。

以下、本題です。

 

何十年以上にもわたって増配を継続している配当貴族銘柄は、みんな大好きだと思いますが(僕も好きですが)、その「配当貴族」方針にはデメリットもあるのではないか、ということについて下記で述べたいと思います。

まず、前提として、配当貴族銘柄はほとんど例外なく素晴らしい企業です。配当貴族の一つの定義として、25年以上連続増配という基準がありますが、コカ・コーラ、マクドナルド、ターゲット、シェブロン、AT&T等、錚々たるメンバーが並んでいますね(ターゲットは最近アレですが)。これは生存者バイアスによるものです。配当は基本的には累積利益から捻出されるので、それだけの期間にわたって増配を続けられるというのは、安定した収益力、長期的なビジョン、強固なバランスシートがなければ不可能です。

なので、僕は配当貴族銘柄がまずい企業であるとか投資するなと言うつもりは全くありません。そうではなくて、今後も永劫にわたって増配を続けるであろう、と投資家から期待されるような企業の資本政策が最善なのかどうか、と言うことについて議論したいのです。

あまりこのような観点での議論をネットで見たことがありません。投資家から見て増配は嬉しい、だから配当貴族銘柄は素晴らしいと言う投資家目線の議論はたくさんありますが、企業の資本政策の観点から考える記事は少ないようです。しかし、株主資本主義において企業の目的は株主価値の最大化であるのであれば、株主も企業がどのようにして株主価値を最大化できる政策を取りうるか、と言う視点で考えるべきですね。

ちょっと数字にして考えてみましょう。ある企業のEPS(一株あたり利益)の実績と見込を仮定して、三つの配当方針を作ってみました。

一つ目は配当貴族方針で、毎年10%の増配を行う資本政策。二つ目は配当性向一定で、EPSの50%を配当する資本政策。三つ目は投資に必要な資金を年0.5として、余剰資金を配当する資本政策です。

割引率を5%として、配当の現在価値を計算すると、三つ目がもっとも現在価値が高くなっていますね。

投資家からの期待により増配を義務付けられている企業は将来に増配できなくなることを恐れ、必要以上の資金を溜め込もうとするインセンティブがあります。これは最善の資本政策ではありません。理想的な条件では、現時点で必要でない資金は全て投資家に配当という形で返すべきです。そうすることで、投資家はその企業よりも良い投資機会を有している別な企業に投資を行うことができるからです。

しかし、以下の理由により、企業は現実的には、不要な資金を全て投資家に返すことは難しいでしょう。

・企業の投資機会は常に変動するので、企業は現時点で必要とする資金を完全に見積もることができない。

・企業が余剰資金以外を全て配当する政策をとった場合、残りの資金がなぜ必要か、どのような投資機会があるのかを投資家に説明することが求められるが、そのような情報開示は他の企業の意思決定に有利に働く。

その反面、配当貴族方針は、投資家と将来の配当額の合意が取れているので、企業にとっては、過度な情報開示の必要がなく、余剰資金を好きなタイミングで投資することができます。投資家にとっては、企業の資本効率改善に圧力をかけ、将来の配当収益見込みが立てられるので、エージェントコストを下げ、株式のボラティリティを低下させるメリットがあります。

したがって配当貴族政策は、理論的には最善の資本政策ではないが、現実的には悪くない資本政策、と言えるでしょう。少なくとも、資本コストを上回って投資する機会がないにも関わらず、配当性向をごく低いところで固定しており、それが株主還元だ、と思い込んでいる多くの日本企業の資本政策よりはずっとマシだと思います。

 

もう一つの論点として、増配方針が資本と負債の構成に与える影響があります。

エネルギー企業などのシクリカルな銘柄に多いですが、利益により配当をまかなうことができなくなった場合にも、借り入れを行うことによって増配を達成しようとします。

この資本のリバランス政策にはプラスとマイナスの両面があると思います。

つまり、企業が強固なバランスシートを持っている場合、借り入れにより配当を行うことは、不要な資本の返還であり資本コストを下げる効果がありますが、自己資本比率が閾値を下回ると、倒産リスクを高め資本コストを増加させます。

現在の米国株の環境では、配当や自己株取得の株主還元が過熱しており、かなりの部分がフリーキャッシュフローではなく、資本のリバランスにより為されています。しかし金利の上昇局面では有利子負債の増加は危険を伴い、現在の株主還元のペースは維持不可能になるでしょう。

 

まとめ

・配当貴族政策は最善の資本政策ではないが、現実的には他の政策よりも悪くはない

・資本政策というよりも過去安定的に成長してきた配当貴族企業のビジネスが良い(wide moat)

・資本のリバランスによって増配を達成している企業はないか?配当利回り、増配率だけではなく、バランスシート、フリーキャッシュフロー、総還元性向を見てみよう

シーゲル流投資はアノマリーの一つに過ぎない

米国株サイトにとってのバイブルの一つ、シーゲル教授の「緑本」こと、「株式投資」を少し前に読みました。

あちこちで褒められているので教条的なトンデモ本かと思っていましたが、理論的に書かれていて良い本でした。

当ブログも参加しているブログ村の米国株カテゴリで、「シーゲル流」と言われる投資方法が最近流行っていますね。僕の理解だと、「シーゲル流投資」とは、足元の配当利回りが良く増配履歴が長いディフェンシブなセクターの優良大型株を、中長期的に配当再投資し続ける戦略です。銘柄の例を挙げると、コカコーラ、マクドナルド、ファイザー、エクソンモービル、ウォルマート、IBM、フィリップ・モリス、アルトリア、ジョンソン・アンド・ジョンソン、AT&Tなどです。特に「シーゲル流」と名前がついていなくても、「ブログ村」においてディフェンシブな株が非常に好まれていることは明らかです。

この本ではそのような投資が奨励されているのかと想像していたのですが、この「緑本」で推奨されていたのは僕が思い込んでいたいわゆる「シーゲル流」とは少し違いました。

「緑本」では様々なアノマリー(市場の歪み)について分析されています。例えば1月は株価のパフォーマンスが良いとか、月曜日は株価が下がりやすいとかですね。

「緑本」の結論では、米国株に限らず先進国クラスや新興国クラスの分散された株式インデックスを長期的に保有することが推奨されています。例えばVT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)を配当再投資してひたすら保有するような手法です。

ネットの書評を読むと、「緑本」の続編である「赤本」では(まだ僕は未読ですが)更なるリターンを狙う戦略として、エネルギーセクターやヘルスケアセクターの過去の利回りに着目して、これらセクターへの重点的な投資が推奨されているようですね。これがいわゆる「シーゲル流」の理論的根拠となっているようです。

最近、ブログ村の記事を読んでいて思うのは、シーゲル教授が言っていることは経験的なアノマリーであって、先験的な(どんな環境でも正しい、という意味で使っています)投資理論ではない、ということが理解されているのだろうか、という疑問です。

これまで、エクソンモービルへの配当再投資戦略が IBMへのそれをアウトパフォームしてきたのは、原油というオールド・ビジネスへの期待が、コンピュータという画期的なビジネスへの期待よりも低かったからです。したがってPERは低位に抑えられ、配当再投資が有効だったわけです。

フィリップ・モリスが全ての大型株の中で最高のパフォーマンスを出したのも、規制や市場縮小への懸念が PERを抑えてきたことが一因です。

翻って現状はどうでしょうか?フィリップ・モリスのPERは24.6倍、配当利回りは3.77%です。バリュエーションはグロース株に接近しつつあり、配当利回りは史上最も低い水準です。バリュエーションが割高になるとはどういうことでしょうか?理論株価とは、将来の配当の現在価値でした。したがって、もし現在の価格が適正だとしたら、フィリップ・モリスはIQOSの世界展開について今後の成長性が評価されているため、足元のバリュエーションが割高になっていると考えられるでしょう。電子タバコ市場の将来は非常に魅力的であり、フィリップ・モリスの収益見込みは明るいでしょう。しかしこれは原義的なシーゲル流投資ではありません。タバコセクターが変質しており、もはや期待されず低位に放置されるセクターではなくなっているからです。タバコセクターのアノマリーが消失しているのです。

タバコセクターに限った話ではありません。「緑本」では、過去100年にわたって見られたアノマリーが、最近では消滅しつつあるという例がいくつも出てきます。アノマリーは広く知られた時点でアノマリーではなくなるのです。

一方で、小型株効果は良く知られた現在でも存在するアノマリーの一つですが、「シーゲル流投資」を行っている人たちは、しばしばそのアノマリーを無視しているように見えます。

僕の意見はこうです。

①シーゲルの推奨する投資方法は経験的に優れている。

②将来的にアノマリーが存続するかどうか定かでない。

③バリュエーションを確認し、理論の本質に立ち戻ることでアノマリーの有効性を確認することができる。

④セクター名や米国株という括りだけに着目するのでは、シーゲル流投資は早晩、教条主義に転落するだろう。

 

クレジットカード業界の地殻変動は中国から起きる

クレジットカード決済の主力プレーヤーはビザとマスターカードで、アメックスがその後を追いかける図式になっています。
ビザとマスターカードのPERは30倍超と市場から更なる成長を期待されており、株価は怖いくらいに綺麗な右肩上がりで伸び続けています。

ビザやマスターカードを打倒する新星とかつて言われたスクエアは、ヘボなCEOジャック・ドーシーによって、彼がCEOを掛け持ちするtwitterと同じく株式価値を毀損し続けています(ウォルト・ディズニーは彼を取締役に招いて何をするのでしょうか?)
スクエアのビジネスモデルは破綻しています。

スクエアの決済手数料は3.75%でビザやマスターカード以上に高く、店舗はスクエアのカードリーダーの設備投資を行う必要があり、スクエアは受け取った手数料の大部分をクレジットカード会社に払うから大赤字、という三方一両損の誰も得しない構造なのです。

スクエアが転び、キャッシュレス社会が進行することは明白なので、今後もクレジットカード決済業界は安泰なのでしょうか?僕はそうは思いません。地殻変動は中国で起こっています。

中国のIT企業騰訊(テンセント)が展開するメッセージングアプリWechatは、Wechat paymentというアプリで決済を行うサービスを開始しています。Wechatのユーザ数はLINEの10倍の9億人で、うち2億人超がすでにWechat paymentを使用しています。

WeChat paymentの手数料はわずか0.1%で、QRコードを読み込むだけで客のスマホで簡単に決済が完了するので設備投資の必要がありません。お客のスマホがタッチパネル付きの注文モジュールになり、注文時に決済できるので非常に便利です。クレジットカードの銀聯カードは手数料が高いので、中国の都市部の小売店では銀聯カードを禁止し、Wechat paymentのみの決済としているところもあるようです。

中国政府は 製造業からIT産業へのシフトにものすごく力を入れており、都市部におけるIT技術の発展は米国や日本を凌駕している面もあります。中国情勢に詳しいアナリストによれば、中国でWechat paymentもしくはAlipay(アリババの電子マネー決済)をスマホに入れていない外国人はお店で客扱いされないとのことです。まさしく破壊的イノベーションの一例だと思います。

また、GoogleやAppleも同様のサービスを開始しています。Android payの決済手数料は無料、Apple payの手数料は0.15%です。Amazonはこないだ、とある銀行を買収して怪しい動きをしていますね。何か自前の決済サービスを目論んでいるのではないでしょうか。

ビザやマスターカードの現行のビジネスは、小売店から3%程度の多大な手数料を徴収し、その一部を利用者にキャッシュバックすることでクレジットカードでの決済を促すというものですが、今や人々はスマホという同一のプラットフォームを持っているのですから、小売店がこのクレジットカード会社からの簒奪に対して、反逆の狼煙をあげるのはごく簡単なことです。

外国製のアプリの規制により皆がWechatをスマホに入れている中国は一歩先を行っているだけで、いずれ世界はフラットになるでしょう。ビザやマスターカードは、現状ではほとんど投下資本なしでこの世の春(手数料ビジネス)を謳歌していますが、いずれテクノロジー企業の波に飲まれる日が来ると思います。

追記:もちろん、クレジットカード(信用払い=後日引き落とし)の手数料3%とWechat payment(デビット支払=即時引き落とし)の手数料0.1%との差の大部分は、引き落とし日までの金利と、利用者の与信コストです。しかし、スーパーや飲食店での支払いが、本当に当座のお金がなくて信用払いでないと払えないものでしょうか?単にキャッシュレスで払えてポイントがつくという理由で、クレジットカードを出しているだけではないでしょうか?もしそうであるならば、店がクレジットカードでの支払いを断っても、キャッシュレスで口座から引き落として簡単に払えれば実際的には困らないわけです。近い未来、クレジットカードを使えるのは高級店や、衝動買いが起きやすい業界の店(例えばアパレル)だけになるでしょう。クレジット(信用払い)社会とキャッシュレス社会を分けて考える必要があります。

決算概観:ヴァリアント・ファーマシューティカルズ(VRX)

ヴァリアント・ファーマシューティカルズ(ティッカーシンボル:VRX)が16/4Q決算を発表しました。悪い決算でした。

16/4Qの売上24ドル、Non-GAAP EPS 1.26ドルは市場コンセンサスを上回りましたが、15/4Qの売上28億ドル、Non-GAAP EPS 1.55ドルに対して売上は13%減、EPSは19%減です。

セグメントでは、コンタクトや眼科用医療機器などを扱うボシュロムがヴァリアントの売上の約半分を占めており、売上は15/4Q比ほぼ横ばいと比較的好調でした。
一方で、薬価下落等の影響で、胃腸薬のSalixなどがあまりよくありません。

17年度のガイダンスはEBITDA 35.5億ドル〜37億ドルが提示され、市場コンセンサス38.8億ドルを下回っています。


2/28の株価は前日比14%下落しており、2015年8月の高値263ドルからは95%下落しています。
時価総額49億ドルはEBITDAのわずか1.3倍ですが、298億ドルの有利子負債を抱えており、EBITDAに対する有利子負債レバレッジは7倍近くに悪化していますので、割安な水準ではありません。
米国みずほ証券のアナリストIrena Kofflerは目標株価を9ドルとしています。

Market Hackの広瀬さんもVRXの決算について記事を書かれていますのでご参照ください。
http://markethack.net/archives/52037466.html

お詫び:サーバー代を払うのを忘れてて30分ぐらいサイトが見れなくなってました。すみません。広告でサーバー代を賄いたいです。

17年2月末のポートフォリオ

ちょっと間が空いてしまいました。ラ・ラ・ランドを観たり、村上春樹の新作長編を読んだり、小沢健二の新譜を聴いたりしてました。

よくできたハリウッドの映画を観ると、アメリカって凄い国だな〜と思ってしまいますね。良い芸術作品には、「今死んでもいいかも」と一瞬思えるような(もちろん死んだらダメなんですが)エクスタシーがあると信じていますが、「ラ・ラ・ランド」にはそれがありました。エピローグでめちゃめちゃ泣きました。

前にアメリカ出張に行かせてもらった時も、行きの飛行機で「ズートピア」を観たせいで、教育的に正しくてエンターテイメントとして素晴らしい作品を比類ないクオリティで作るアメリカの偉大さに、入国審査前から恐れおののいてしまいました。「レヴェナント」にしとけば良かった。

それはともかく、2月末のポートフォリオです。

買い:HBI、 DAL

売り:AMZN(アマゾン)、鳥貴族

HBIはアマゾンを売ったその足で買いました。アマゾンはバリュエーションを再評価してみるとEBITDAではそれほど割高でないことが分かり、もう少しの上昇余地が望めるので再購入することを検討しているのですが、急落局面のHBIが拾えたのでアマゾンを売ったこと自体は後悔していません。

DALは一言で言うとBPのヘッジです。(またどこかで財務分析を詳しく書きます)

鳥貴族はライバルのパクリ戦略などの競争激化により、あれほど素晴らしかった既存店売上成長率が伸び悩んでおり、客単価が前年比減となっているため、今後インフレ率が上がってくると価格を固定したビジネスは厳しいだろうと判断。また新店出店ペースも遅いです。

 

明日は待ちに待ったVRX(ヴァリアント・ファーマシューティカルス)の決算発表ですね。営業キャッシュフローが予想を下回ると倒産の危機が見えてくるのでドキドキします。