クレジットカード業界の地殻変動は中国から起きる

クレジットカード決済の主力プレーヤーはビザとマスターカードで、アメックスがその後を追いかける図式になっています。
ビザとマスターカードのPERは30倍超と市場から更なる成長を期待されており、株価は怖いくらいに綺麗な右肩上がりで伸び続けています。

ビザやマスターカードを打倒する新星とかつて言われたスクエアは、ヘボなCEOジャック・ドーシーによって、彼がCEOを掛け持ちするtwitterと同じく株式価値を毀損し続けています(ウォルト・ディズニーは彼を取締役に招いて何をするのでしょうか?)
スクエアのビジネスモデルは破綻しています。

スクエアの決済手数料は3.75%でビザやマスターカード以上に高く、店舗はスクエアのカードリーダーの設備投資を行う必要があり、スクエアは受け取った手数料の大部分をクレジットカード会社に払うから大赤字、という三方一両損の誰も得しない構造なのです。

スクエアが転び、キャッシュレス社会が進行することは明白なので、今後もクレジットカード決済業界は安泰なのでしょうか?僕はそうは思いません。地殻変動は中国で起こっています。

中国のIT企業騰訊(テンセント)が展開するメッセージングアプリWechatは、Wechat paymentというアプリで決済を行うサービスを開始しています。Wechatのユーザ数はLINEの10倍の9億人で、うち2億人超がすでにWechat paymentを使用しています。

WeChat paymentの手数料はわずか0.1%で、QRコードを読み込むだけで客のスマホで簡単に決済が完了するので設備投資の必要がありません。お客のスマホがタッチパネル付きの注文モジュールになり、注文時に決済できるので非常に便利です。クレジットカードの銀聯カードは手数料が高いので、中国の都市部の小売店では銀聯カードを禁止し、Wechat paymentのみの決済としているところもあるようです。

中国政府は 製造業からIT産業へのシフトにものすごく力を入れており、都市部におけるIT技術の発展は米国や日本を凌駕している面もあります。中国情勢に詳しいアナリストによれば、中国でWechat paymentもしくはAlipay(アリババの電子マネー決済)をスマホに入れていない外国人はお店で客扱いされないとのことです。まさしく破壊的イノベーションの一例だと思います。

また、GoogleやAppleも同様のサービスを開始しています。Android payの決済手数料は無料、Apple payの手数料は0.15%です。Amazonはこないだ、とある銀行を買収して怪しい動きをしていますね。何か自前の決済サービスを目論んでいるのではないでしょうか。

ビザやマスターカードの現行のビジネスは、小売店から3%程度の多大な手数料を徴収し、その一部を利用者にキャッシュバックすることでクレジットカードでの決済を促すというものですが、今や人々はスマホという同一のプラットフォームを持っているのですから、小売店がこのクレジットカード会社からの簒奪に対して、反逆の狼煙をあげるのはごく簡単なことです。

外国製のアプリの規制により皆がWechatをスマホに入れている中国は一歩先を行っているだけで、いずれ世界はフラットになるでしょう。ビザやマスターカードは、現状ではほとんど投下資本なしでこの世の春(手数料ビジネス)を謳歌していますが、いずれテクノロジー企業の波に飲まれる日が来ると思います。

追記:もちろん、クレジットカード(信用払い=後日引き落とし)の手数料3%とWechat payment(デビット支払=即時引き落とし)の手数料0.1%との差の大部分は、引き落とし日までの金利と、利用者の与信コストです。しかし、スーパーや飲食店での支払いが、本当に当座のお金がなくて信用払いでないと払えないものでしょうか?単にキャッシュレスで払えてポイントがつくという理由で、クレジットカードを出しているだけではないでしょうか?もしそうであるならば、店がクレジットカードでの支払いを断っても、キャッシュレスで口座から引き落として簡単に払えれば実際的には困らないわけです。近い未来、クレジットカードを使えるのは高級店や、衝動買いが起きやすい業界の店(例えばアパレル)だけになるでしょう。クレジット(信用払い)社会とキャッシュレス社会を分けて考える必要があります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です