10月末のポートフォリオと、スプリントの合併破談報道について

アマゾンやアルファベットの好決算についてコメントしようと思ったらもう月末が来てしまいました。とりあえず、10月末のポートフォリオです。

 

(11/1訂正)数字に間違いがあったので、差し替えました。

10月末の保有銘柄の時価は873万円で、前月比+109万円となりました。

購入:ソフトバンク、アルファベット、アマゾン、投資信託3種

売却:フット・ロッカー

それぞれ色々書きたいことはありますが、今日はソフトバンクについて。

前回の記事でソフトバンク株の購入理由を書きましたが、購入後にスプリントとTモバイルの合併が盛んに報道され、一ヶ月で15%超も上昇しました。しかし昨日、統合後の会社の支配権を得られないことを理由に、ソフトバンクの取締役会が合併を中止することを決めたとの報道が流れ、ソフトバンク株は5%を超える下落となりました。

ブルームバーグの記事が述べるように、合併中止は愚かな判断としか言いようがありません。単独でも生き残ることが可能なTモバイルに対してスプリントは苦境にあり、会計上の利益は多少出ているかもしれませんが、フリーキャッシュフローはゼロ付近をさまよっています。ソフトバンクの国内通信事業のようなキャッシュカウになるには程遠い状況で、生存のためには相当な設備投資を必要とするでしょう。

Tモバイルとの合併が不調に終わった場合に噂されている、米衛星放送大手のディッシュ・ネットワークとの合併はシナジーが薄いと思います。従来のケーブルテレビ業界はネットフリックスやアマゾン・プライムビデオに侵食されており、合併により契約者数の増加が見込まれるかには懐疑的です。むしろTモバイルのようにネットフリックスと業務提携を行うなど、魅力的な番組を提供している勝ち組にくっつく方が有効でしょう。

ソフトバンクはビジョンファンドの説明で、業界ナンバーワンの会社が協力関係を結ぶ同志的結合が重要であり、必ずしも支配権を得るかどうかにはこだわらないと言っています。なぜスプリントとTモバイルとの統合後会社の支配権にこだわるのか、意味が全くわかりません。何かのソフトバンク流の交渉術なのかと思いきや、代案が思い浮かばない以上、永守重信が抜けた後のソフトバンク取締役会は合理的な判断力を失ったのではないか、と思わざるを得ません。

話がそれますが、永森氏が自分なら3000億円以上は出さないと言っていた、3兆円で買収したARM事業は、人員拡大のために営業赤字なのは良いとしても、トップラインの成長モメンタムを欠いているように思えます。

ソフトバンクの決算短信によると、ARMの17/1Q売上高は4.3億ドル。QonQで4.6%増、YonYで21%増です。3兆円のディールの結果にしては極めて物足りません。

ARMを買収した昨年夏なら代わりにNVIDIAを3兆円程度で買えたのに…と思ってしまいますね。今やもう13兆円を超えたので手遅れですが。

そういうわけで、ソフトバンクについては買い増したものの、引き続き懐疑的に見ています。

ソフトバンクを買い増し

先週、ソフトバンク株を買い増しました。

アリババやインドの電子決済最大手paytmなどのフィンテックへ間接的投資を増やしたかったことが主な動機です。

ソフトバンクの時価総額は90Bドル(=10兆円)ですが、積み上げで計算するとこの株価は割安だと直感的に思ったので、検討してみましょう。

ソフトバンクの事業は4つに大別できます。

①国内通信事業

現金を生み出す安定的なビジネス、いわゆるキャッシュカウです。孫社長が関心を無くしているとも聞きます。ARPUはサービス単価が上がらず伸び悩んでいますが、ワイモバイルとの両立が成功しており契約者数は順調です。この事業の価値はフリーキャッシュフローの水準等から同業のKDDIの80%としてざっくり約60Bドルでしょうか。

②スプリント事業

米通信4位のスプリントに約80%の出資をしており、スプリントの時価から計算すると価値は約20Bですが、米通信3位のTモバイルとスプリントの合併報道が現実味を帯びており、今月末にも合併される見方が有力です。合併に当たってはスプリント株にプレミアムがつかないことが報道されているので、直近では株価が軟調に推移していますが、Netflixを特典につけたり、意欲的なキャンペーンで業績好調のTモバイルとの合併は長期的に見て間違いなくプラスでしょう。だからこそ、プレミアムなしの合併、しかも合併後の新会社は連結できず持分法という条件でもソフトバンクがディールに乗り気なわけですが…

あくまでも現在の価値として、スプリント事業の価値は20Bドルとします。ただし、短期的には株価のアップサイドが見込まれるでしょう。

③アリババ、ヤフージャパン、アーム等、ソフトバンク本体からの投資

いまやソフトバンクの価値の大部分を占める投資事業です。ここではヤフーも投資に含めてしまいました。時価総額500Bドルに届かんとするアリババに28%出資しているので、これだけで140Bドルです。アーム30B、ヤフー10Bなどを足して、合計で200Bドルとします。

④ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)事業

サウジの王子やらホンハイやらアップルからお金を集めて、シリコンバレーの有象無象に毎日のように数百億円をばらまいている怪しい事業ですね。

未来予想図がわからなくて不安でしたが、下記のTechcrunchの記事は参考になりました。

SoftBankの投資の狙いを推理する

記事によると、内部収益率20%を達成するためにUber、Didi、Olaなどのライドシェアリング企業を重要な柱として考えているとのこと。確かに10兆円規模のファンドで20%の収益を達成するにはそれしかない気がします。しかし、ソフトバンクへの投資家が一番案じているのもライドシェアリング企業(及びスナップディールなどのインド企業)へ金を湯水のように投じていることだと思います。

私見としては、ライドシェアリング企業への投資はSVFが期待するような収益を得られないと思います。しかし、まるっきり損を食らうこともないでしょう。Uberは売上を着実に伸ばしており、損失は減少しています。競合のLyft(アリババが出資しているので、競合ではなくて傘下?)のIPOは有望です。Uberの企業価値は伸び悩んでいるものの暴落している兆候はありません。ソフトバンクは大型投資のEXIT経験があまりありませんが、うまく上場させればいくらかの利益を得ることはできると思います。リスクに見合っているのかはわかりませんが。

ソフトバンクは、SVFがサウジの王子などの投資家から受け取るファンド手数料(年1000億円規模?)も収益に含むので、ある程度の安定した利益を期待して良いのではないでしょうか。かといって、事業の価値をいくらと見込めば良いのかよくわかりませんが・・・とりあえず大損しないだけマシとして、ゼロ(!)としておきましょう。

 

①〜④の事業価値を合計すると280Bドル。しかしソフトバンクの時価総額90Bと280Bを比較するのは誤りです。

280Bからソフトバンク有利子負債(の本来は時価)を引く必要があります。有利子負債の簿価は約15兆円(140B)なので、280Bから140Bを引いた140Bが株主価値になります。

更に言えば、ソフトバンクの投資の含み益をそのまま我々が享受できるわけではありません。スキームによるのでもっと良い方法があるのかもしれませんが、ソフトバンクの米国子会社においてアリババ株の売却益が100生じた場合、米国で株式譲渡税が20課せられます。投資の含み益については8掛けして保守的に見積もった方が良さそうですね。そうするとEXITの可能性がある②③については8掛けして、①〜④の合計で236B。有利子負債140Bを引いて96B。なんだ、今の時価総額90Bは妥当じゃないか…という結論になってしまいました。

やはり④のビジョン・ファンドをどのように評価するかで全く株価の見通しが分かれそうです。テック・バブルと歴史的低金利の複合がもたらした異常な状況で大金を赤字企業にぶち込むギャンブラーと見るか、凄まじい情報的・金銭的優位を武器に、ハイレバレッジで伸びしろのある有望企業に投資する超優良ファンドと見るか・・・僕はどちらの見方もあると思います。